読んでる。

不幸にする親―人生を奪われる子ども

不幸にする親―人生を奪われる子ども

この本を読む読者層ってきっと心になにかしら傷を負った人が多いと思うんだけど、彼らに対して非常に気を使って、優しい言葉を選びながらなるべく驚かさないように文章が書かれてる。丁寧に説明をして、前置きやフォローをできるだけ挟みつつ私達をデリケートなものとして扱ってるから変な誤解を生まずに読み終えることが出来るし余計なことを考えずに落ち着いて思考できる。内容のことを書く前に、文体や構成の仕方が私の作る文章とはほとんど正反対で新鮮だった。もちろんこれは小説じゃない、啓発本?だけど、人を納得させるためには普通強烈で過激な言葉を用いて人を驚かせるのが効果的だし簡単だ。こんなに優しい言葉を用いる啓発本は初めてだったから印象的だった。普段の生活の中で唐突に優しすぎる言葉に出くわすとびっくりしてしまう。

この本を読む前に、不健全な精神を絶つために以前考え出した「過去からの遺産を捨てる」という暫定的な答えがそのまま第六章の「不健康な心の結びつきを断ち切るには」という章に書いてある。少なくとも私の出した答えは的外れなものじゃなかったんだって自信がつく。『不幸にする親』というタイトルはきっとこの本の中でも一番強烈な言葉だけれど、『親』という部分を『環境』と言い換えてもとっかかりなく読めるのかもしれない。

私は極端なものの考え方をする傾向にあるけど、「すべてかゼロか」「白か黒か」という考え方は完全主義的な考え方であまり健康なものではないらしい。思えば私の不健康な心の部分は、「他人への信頼感がなくなる」ことだったり、「怒りや嫌悪感をうまく表現できな」かったり、「自己不信が増」したり、「抑うつ感がつの」ったり、「何事においても不信感が強かったり、または逆にすぐ信じてしまったり」する、自分でも気がついていたりいなかったりする部分だと思う。これらは今まであらゆる人から指摘されてきたし、自分でも定期的に問題になっていることだったから、今回はっきりと、それでも優しい言葉で書かれていて、見つめなおすチャンスだなあとぐらりときた。